
「突然の異動内示、動揺して何も手につかない」
「育休復職まであと半年、仕事と育児の両立が不安」
「退職して起業したいけど、家族にどう説明するか」
キャリアの転機は誰にでも訪れる出来事です。突然、直面した転機にどう対処すればよいか?
アメリカの心理学者ナンシー・K・シュロスバーグが提唱した「4S理論」は、キャリアの転機に直面した時に自分が持っているリソース(資源)を点検し、適切な対処法を見つけるための実践的なフレームワークです。
本記事では、2回に分けて、キャリアの転機で迷ったときに有効な4S理論とその点検方法について解説します。
前記事1回目では、4S理論の概要と活用するメリット、そして4Sの各要素をご紹介しました。
おさらいをしたい方、以下のリンクからご覧ください。
本記事2回目では、4S点検の実践例をご紹介します。実際どのように活用するのかをイメージできます。そして、活用のコツ、ポイントを解説します。
ケーススタディ:4S理論の実践例

前記事1回目では、4S理論の点検項目とチェックポイントを紹介しました。
では、キャリアの転機を乗り越えるために、4S理論を実際どのように使うのか?
ここでは、2つのケーススタディにて実践例をご紹介します。
ケース1: Aさん(41歳男性)、会社都合の異動
状況
Aさんは、突然異動を告げられました。組織再編のため希望していない地方転勤に。
【4S点検を実践】
| Situation(状況) | ・予期しない転機でコントロール不可 ・単身赴任になると家族への影響大 ・異動にネガティブな受け止め ⇒ 厳しい状況だが受け入れるしかない現実 |
| Self(自己) | ・過去に異動経験があり適応できる ・家族を大切にする価値観 ・現職を続けて収入安定が必要 ⇒ 適応力あり、収入安定の必要性 |
| Support(支援) | ・家族に丁寧に説明、理解を得られた ・同僚・友人とのネットワークで相談 ・キャリアコンサルタントに相談 ⇒ サポート体制は充実 |
| Strategies(戦略) | ・異動先の情報を積極的に収集 ・週末帰省し生活リズムを確立予定 ・「キャリアの幅が広がる機会」と再認識 ⇒ 家族を守り、キャリア成長できる機会に |
内容
Aさんは、4S点検によって、厳しい状況であってもそれぞれ活用できるリソースは十分にあると分析できて、異動を前向きに対処できるようになりました。
Aさんのケースで注目すべきは、Strategies(戦略)におけるリフレーミング(認知の再構成)です。当初は「望まない異動」とネガティブに受け止めていましたが、4S点検を通じて「キャリアの幅が広がる機会」とポジティブに捉えなおしました。
また、Support(支援)では、最も重要な家族の理解を得るために、丁寧に話し合いを重ねたことが、その後の単身赴任生活を支える基盤となっています。
Self(自己)の点検で「過去の異動経験」という強みに気づいたことも、不安を軽減する要因となりました。
ケース2: Bさん(56歳男性)、定年を見据えた準備
状況
Bさんは、4年後に迎える60歳定年を見据えて、定年後のキャリアを考え始めました。
【4S点検を実践】
| Situation(状況) | ・予期される転機で準備時間がある ・収入減少、役割変化が予想される ・計画的に対処できる ⇒ 考える時間的余裕がある |
| Self(自己) | ・豊富な経験と専門能力の需要 ・学び続ける意欲 ・経済的には年金と貯蓄で生活維持 ⇒ 定年後の選択肢が広がる |
| Support(支援) | ・家族の理解と協力を得られている ・業界内のネットワークに相談 ・ファイナンシャルプランナーに相談 ⇒ 各方面の相談サポート体制 |
| Strategies(戦略) | ・業界内での人脈、販路拡大 ・60歳以降の収支シミュレーション ・再雇用、再就職、起業の選択肢を比較検討 ⇒ 有利な就業に向けた検討、準備 |
内容
Bさんは早めに定年後のキャリアを考え始めて、4S点検によって、定年をゴールではなく、新たなスタートと捉えられるようになりました。
Bさんのケースで最も効果的だったのは、Situation(状況)で「4年間の準備時間がある」という事実を活かした点です。時間的余裕があることで、複数の選択肢を焦らず比較検討できました。
Self(自己)の点検では、「豊富な経験と専門能力」という強みを再認識し、その市場ニーズが高いことを確認。これにより、再雇用だけでなく起業という選択肢も現実的になりました。
Support(支援)では、業界ネットワークとファイナンシャルプランナーという、仕事面・経済面の両方のサポートを確保している点が安心材料となっています。
4S理論を活用するポイント

ポイント1:定期的に点検する
転機の初期段階だけでなく、相談や情報収集が進んで状況が変化したら4Sを再点検しましょう。新たなリソースが見つかったり、戦略を軌道修正する必要も出てくるでしょう。
ポイント2:不足しているSを補強する
4つのSのバランスが重要です。どれか1つが大きく不足していると、不安が残ったまま、無理に乗り越えることにつながりかねません。
例えば、同僚・友人に相談してポジティブな助言をもらえても、家族の理解・協力が得られていない段階だと、無理に押し通すことはむずかしいでしょう。家族への説明、話し合いを続けて理解が得られるよう、つまり支援のリソースを重点的に補強することが大事です。
ポイント3:客観的な視点を持つ
4S点検は、自分のもっているリソースを客観的に評価できる有効な方法です。しかし、自分だけで点検すると、主観的になりがちなこともあるでしょう。
そのときは、キャリアコンサルタントなど第三者の視点・分析を入れると、見落としていたリソースに気づくことがあります。客観的な視点を取り入れることはとても有効です。
ポイント4:ポジティブなリソースに注目する
不足している部分だけでなく、すでに持っているリソースにも注目しましょう。それが自信と行動力につながります。
例えば、転職で新たな領域を担当することに不安があっても、自分に学び続ける意欲があり、サポートが充実しているならば、ポジティブなリソースを武器にして転職に前向きに挑むことができるでしょう。
このように、認知の捉え方を変えることが、自信と行動力を生み出す源泉となります。
ポイント5:小さな行動から始める
いきなり完璧にしようとせず、できることから少しずつ始めることが大切です。
小さなタスクをこなして成功体験が自信を生み出し、次の行動につながります。良い循環ができて、まわり始めると、次々と進めるパワーが生まれてきます。
そのためにも、行動計画を小さなステップに分解して、スモールスタートで始めることがポイントです。
専門家のサポートを活用する
4S理論は転機で客観的に判断できる方法として有効ですが、一人で抱え込まず専門家のサポートを活用することで、より効果的に転機を乗り越えられます。
キャリアコンサルタントができること
- 4S分析の客観的なサポート
- 見落としているリソースの発見
- 具体的な戦略の立案をサポート
- 定期的なフォローアップ
- 守秘義務のもとでの安心な相談
キャリアデザインXPの国家資格キャリアコンサルタントは、4S理論をはじめとする専門的な理論と実践経験を持っています。あなたの転機への対処を効果的に支援します。
こんな時は専門家に相談を
- 一人で考えても答えが出ない
- いろいろ不安がある
- 複数の選択肢で迷っている
- 客観的な意見が欲しい
- 具体的な行動計画を立てたい
- 誰にも相談できず焦っている
4S点検は客観的なツールですが、一人で考えていると主観的になって分からなくなることがあるかもしれません。そんなときは、キャリアデザインXPがお力になりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
キャリアの転機は人生の重要な分岐点です。その転機をピンチではなくチャンスに変えるために、シュロスバーグの4S理論はとても有効なフレームワークです。
Situation(状況)、Self(自己)、Support(支援)、Strategies(戦略)の4つの視点から、自分が持っているリソースを客観的に点検することで、転機への判断と対処法が見えてきます。
重要なのは、不足しているリソースだけでなく、すでに持っているリソースに気づき、それを活用することです。
転機という出来事自体の捉え方を変えること、つまりリフレーミング(認知の再構成)による認知的対処が大事です。そして、確実に行動的対処をおこない自信をもって転機を乗り越えていきましょう。
転機に直面した時は、一人で抱え込まず、周囲のサポートや専門家の力を借りることも大切です。
4S理論を活用して、あなたのキャリアの転機を成長の機会に変えましょう。
出典
ナンシー・K・シュロスバーグ(武田圭太・立野了嗣監訳)(2000).「選職社会」転機を活かせ 自己分析手法と転機成功事例33 日本マンパワー出版
「4S点検、やってみたいけど一人ではむずかしそう...」
そう感じた方は、まずはキャリアデザインXPの初回相談でお話を聞かせてください。
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まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

小栗 裕二 キャリアデザインXP 代表
国家資格キャリアコンサルタント、2級ファイナンシャルプランナー。
NHKエンジニア出身、1000人以上のキャリア面談経験。
キャリア相談では理論と実践経験を活かした伴走型支援とともに、
お客様の納得を最優先にサポートします。


